障害年金
基礎知識
basic knowledge
障害年金とは、病気やケガで心身に障害が残存する場合に支給される年金です
このページでは、初診日や対象傷病など障害年金の申請を考えるうえでの基本的な情報をご説明します。
- 対象となる傷病
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ほとんどの傷病が対象となります!厚生労働省の実態調査(H26)によると…
障害年金の受給者数:194万3000人
精神の障害(601,000)
脳血管疾患(151,000)
中枢神経系の疾患(114,000)
耳の疾患・外傷(98,000)
目の疾患・外傷(93,000)
胃疾患(92,000)
※ただし「神経症」など原則として、認定の対象とならないとされる傷病もあります。 - 障害等級
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日常生活や仕事でかかえる困難さの度合いによって、1級から3級まで等級がわかれています。
●1級
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものとする。この日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度とは、他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度のものである。
例えば、身のまわりのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね就床室内に限られるものである。
●2級
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。
この日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度とは、必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度のものである。例えば、家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるものである。
●3級
労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。また、「傷病が治らないもの」にあっては、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。
(「傷病が治らないもの」については、第3の第1章に定める障害手当金に該当する程度の障害の状態がある場合であっても3級に該当する。)
障害手当金「傷病が治ったもの」であって、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。
※3級で支給を受けられるのは、厚生年金・共済年金に加入している人(会社員・公務員)のみです。
※障害者手帳の等級とは必ずしも一致しませんので、詳しくは当事務所までお問い合わせください。 -
障害基礎年金
障害厚生年金 -
障害の状態により、障害基礎年金は1級・2級、障害厚生年金は1級~3級の年金を受けとることができます。また、障害厚生年金の1級・2級に該当する場合は、障害基礎年金もあわせて受け取ることができます。
●厚生年金
1級・2級:障害厚生年金/配偶者の加給年金額※
3級:障害厚生年金
●国民年金
1級・2級:障害基礎年金/子の加算額※
※対象者がいる方のみ加算されます。
【計算方法】
障害年金の額の計算方法は、障害の状態(等級)により異なります。例えば、障害年金の1級は、1級の1.25倍となっています。
●障害厚生年金・障害手当金
1級:報酬比例の年金額×1.25+(配偶者の加給年金額)
2級:報酬比例の年金額+(配偶者の加給年金額)
3級:報酬比例の年金額
※585,100円に満たないときは、585,100円
障害手当金(一時金):(報酬比例の年金額)×2
※1,170,200円に満たないときは、1,170,200円
●障害基礎年金
1級:975,125円+(子の加算額)
2級:780,100円+(子の加算額) - 初診日要件
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初診日に公的年金に加入している必要があるという条件です。ただし20歳未満で年金加入前の人や、被保険者期間が終わった60~65歳も支給の対象になるという例外があります。
●初診日とは
障害の原因になった病気やケガについて、初めて病院・診療所で診療を受けた日のこと。
・初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
・同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師などの診療を受けた日
・過去の傷病が治癒し同一の傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
・健原診断により異常が発見され、療養に関する指示を受けた場合は健康診断日
・傷病名が確定しておらす、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される揚合は、他の協病名の初診日が対象傾病の初診日
・じん肺症(じん肺結核を含む)については、 じん肺と診断された日
・障害の原因となった傷病の前に相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
・先天性の知的障害(精神遅滞)は、出生日
・先天性心疾患、網膜色素変性症などは、具体的な症状が出現し、初めて診療を受けた日
・先天性股関節脱臼は、完全脱臼したまま生育した場合は出生日が初診日、青年期以降になって変形性股関節症が発症した場合は、発症後に初めて診療を受けた日 - 保険料納付要件
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「保険料を一定期間以上払っていないと、年金がもらえない」という条件です。下記条件のどちらかを満たしていれば保険料納付用件を満たしていることになります。
・初診日を含む月の前々月までの公的年金の加入期間について、保険料を支払った期間(免除・猶予期間含む)が3分の2以上あること。
・初診日に65歳未満で、初診月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと。
初診日以降にいくら未納があっても関係ありません。納付記録関係であきらめる前に、当事務所にご相談ください! - 障害認定日
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障害年金は、障害認定日以降に申請することが可能です。障害認定日とは以下のいずれかです。
①請求する傷病の初診日から1年6ヶ月を経過した日
②初診日から1年6ヶ月経過前に症状が固定した場合は、固定した日
多くのケースでは①となりますが、②が認められるケースとして障害認定基準においては次のような場合が挙げられています。
・人工透析:透析開始から3ヶ月を経過した日
・人工骨頭又は人工関節:挿入置換した日
・心臓ペースメーカー、ICD又は人工弁:装着日
・人工肛門、新膀胱、尿路変更術:造設又は施術の日
・肢体の切断もしくは離断:切断もしくは離断した日
・咽頭全摘出:全摘出した日
・在宅酸素療法:開始した日
・脳血管疾患(脳梗塞、脳出血など):初診日から6ヶ月以上経過した日以降に、医学的観点からそれ以上の機能回復がほとんど望めないと認められた日
・人工血管、人工心臓又は心臓移植:装着または施術の日