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原因不明の傷病についての障害年金申請

結論から言います

一般的な結論から申し上げますと、病名不明で何の客観的所見もないというような場合には、申請そのものが難しいと思います。
診断書にまず病名を書く欄がありますが、医師としてはまずそこから悩まれることでしょう。不明なので書けませんと。それでも無理に書いてもらってもそのうちボロが出てくると思います。(どうしてこの病名と診断したのか根拠を示せと年金機構から尋ねられ「いや、あの、その・・・そう書いてくれと言われたもんで」みたいな感じになってアウトでしょう。)
「病名が何であれ、ともかく今苦しんでいるんだから支給すべきだ」
という考え方を相談者から披露されたこともありますが、しかし、病名もなく他覚所見も得られない症状というのは審査側からすると「とどのつまりはそれって気のせいじゃないのですか?」と捉えられやすいだろうと思います。

という厳しい結論です。

更に厳しいことを言います

当職としてはこの考えが厳しいというよりは、病名不明原因不明の傷病で困っているという実際の個別のご相談を細々と聞いていますと、余りにこれまでのその相談者さんの受診や治療行為への取り組み方が甘すぎやしないか、と思わざるをえないようなケースがほとんどであるという印象です。

大別すると以下のようなケースが挙げられます。
例えば
①何年も原因不明で困っていると言いながら病院は1件しか行ってない
②なぜかヤブ医者を気に入ってそこで長期間ああでもないこうでもないとやってる人
③何件もドクターショッピングしているけれども、個人医院かせいぜい中堅規模の病院くらいしか行っていない。
④ドクターショッピングしているけれども、ちょっとでも病院に気に入らないことがあると自己都合中断して、見切りが早すぎる人。
⑤そもそも医者の話を聞いていない人
⑥医師が付けた診断名を否定する

などなどの相談をお聞きしました。いずれも本当の意味での原因不明の症状と言えないのでは?という感想です。

①~③について

①②③あたりについて言えるのは、少なくとも大学病院クラスか大規模な総合病院クラスの病院には行きましょうということです。神戸で言いますと神戸大学病院か中央市民病院クラスですが、このいずれにも行かずして原因不明病名不明と言われてもにわかには信じないことにしています。
ちなみに、障害年金の診断書は基本的には医師であれば誰が書いたものでも申請としては有効でありますが、実際には当職のこれまでの経験から考えますと、年金機構のスタンスとしては大学病院や大病院の医師が書いたものの信頼度は高いとみている傾向にはあるように思います。実際その方がよく通っているという実感はあります。

④について

④については、友人などから言い評判を聞いたから転院、テレビや雑誌で取り上げられていたから転院、等々繰り返して、その都度いろんなところでいろんなことを言われて結局問題が複雑化してしまっているような場合も見受けられます。ある程度は腰を落ち着けないといけないことはあると思います。

⑤について

⑤については、例えばあるご相談者から
「突然死を引き起こすナントカ病だと言われました」
との相談を受けたことがあるのですが、当職は
(突然死するかもしれないというのに「ナントカ病」としか認識していないってどういうこと???)
とドン引きしました・・・。

⑥について

⑥については、医者ではないけれども医療関係のお仕事をされていた方などに多い傾向です。しかし、いくら医者でない人が自分で医学の勉強をしたからと言って、それは申し訳ないけれどもあなたに医者の判断を否定する権限はありませんと言わざるを得ません。

などなどのことが往々にしてありますが、いずれにしても思いますのは、病気になった場合に、まず優先すべきは障害年金よりも治療であって、そこの順序を間違えてはいけないと思います。本当に原因不明なのであれば社労士事務所に相談というのは順序としては間違っていると思われます。