眼・耳・肢体
初診日・特殊事例
審査請求
診断書無しでの認定日請求
障害年金の申請にあたっては普通は診断書が必要ですが、過去の診断書が添付できなくても認定が得られた事案についてご紹介します。
事例
男性・61歳(申請時点)
申請:平成26年
結果:障害基礎年金2級(認定日請求)
先天的に右親指の欠損、右上腕部の短縮、右手関節の不良肢位強直の状態であり、2歳の時に障害者手帳を取得。その後は現在に至るまで状態は変わらない。
障害年金については、平成26年に事後重症にて申請し、2級で認定を得る。
当事務所による解決 裁定請求
事後重症で認定を得た直後に、認定日請求ができないかということでご相談にみえられました。
ご自身でされた際には、認定日請求をしようと思えば20歳時の診断書が必要だと言われて受け付けてもらえなかったとのことでした。
通常であれば、まあそれもわかるのですが、この方の場合明らかに先天性の障害状態であり、診断書がないことだけを理由に認定日請求が拒まれるのは不当であろうと思いました。
ただ、日本年金機構というか、まぁ役所全般でしょうけれど、それらの習性としては原理原則論を重視するわけですので、その後どう展開させるかというのは悩みました。
認定日は40年以上前のことですし、というかそれ以前の問題としてその時点ではどこにも医療機関にかかっていないということでその当時の診断書の取得は不可能だというのははっきりしています。
やりかたとして、先の事後重症請求に対して、認定日請求を行いたかったのに職員に阻まれたとして審査請求を行うというのも考えました。しかし、実際に認定日請求を行っていない以上は認定日請求に対する処分自体がなされていないわけですから、その理屈でやるというのはスムーズにいかないだろうというのは思いました。
ですので、新たに認定日請求だけを行うというやり方でやりました。
上で述べた通り、こういう原理原則論に則っていないやり方は本当に年金事務所の職員は嫌がるのです。
例えるなら、どうみても20歳を超えている人が酒やたばこをコンビニで買うときにそれでも年齢確認ボタンを押さないといけないみたいなことで、何が何でもマニュアル通りじゃないといけないみたいなところはありますので。
しかし、何とか苦労して受け付けはしてもらいました。けれど、やはりそのあとで、診断書を出すべしという返戻がありましたが、出来ませんし取り下げるつもりもありませんと拒否し、それだけのことで審査ができないというならば不支給決定をしてください、と伝えるとその通りになりました。
当事務所による解決 審査請求・再審査請求
ここまでは完全に予想していた展開でした。ここで決着はつかないだろうと思い審査請求、再審査請求まで争いましたが、最終的にはこちらの主張が認められて何とか認定を得ました。
先天性の欠損障害ですが、完全に手を欠損している状態であれば、ひょっとするともっとシンプルに通っていたのではないかと思います。
その点の論証がやはり難しかったところなのですが、認定が得られてよかったです。
診断書なしは限定的です
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なお、同様に診断書がなくとも認定日請求ができるかというご相談自体は割と頻繁にお聞きしますが、まずはその症状の固定性が重要だと思われます。本件のように症状が変わるわけがない場合としては、内部疾患のように数値に重要性がある場合はやはり厳しいものがあると思います。
あるいは障害認定日当時のカルテはないと言っても、ではどのようなものならばあるのか、例えば糖尿病手帳のような自身で保管している記録とかならばあるのかという点です。
そのあたりはお聞きして請求を維持できそうか判断させていただいています。
難しいものは難しいとお伝えしておりますが、気になられた場合には一度ご相談ください。