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初診日・特殊事例
審査請求
年金事務所の誤教示(糖尿病)
『障害年金 審査請求・再審査請求事例集』収録事案の概要です。
事例
男性・51歳(申請時点)
申請:平成25年
結果:障害基礎年金2級(事後重症)
平成6年に糖尿病で初診。その後、病院へは行ったりいかなかったりだったが、症状は次第に悪化していた。そして、平成19年に石を踏んだことを原因として、右足を膝下から切断した。
その際に、障碍者手帳を交付されるとともに、町役場国民年金課や社会保険事務所(当時)で障害年金受給につき相談に赴くも、納付要件を満たさないとして帰される。
その後、念のため何か手はないかと思って平成25年にも年金事務所へ赴くも同様に納付要件を満たさないとして門前払いとなる。
当事務所による解決 裁定請求
平成25年の門前払いの次の日に、やや興奮されながら、当事務所へご相談のお電話があったことを覚えています。
状況をお聞きし、話を聞いてもらうだけでもいいので、とのことで、ご面談しました。ただ、お会いする前に思ったのは
「とはいえ、年金事務所の窓口も納付要件のことがわからないほど馬鹿ではないだろうしなぁ・・・」
と、ご期待にどこまでお応えできるだろうかという気持ちでいました。
そしてお会いしてみて、お話を一通り聞いて、年金記録を拝見すると、やはり未納は多かったです。
ややざっくりしたお話をされる方なので、お電話では、平成19年に足を切断したというところからの経緯しかお聞きしていなかったので、その切断の原因は何なのですかというところからお聞きしました。つまり初診日の確定です。初診日の属する月の前々月までの納付実績が障害年金の場合問われますので、これがわからなければ納付要件があるのかないのかもわかりません。切断というのは結果であって、それと因果関係があるそれ以前の事情があればそこが基本的には初診日となります。
ただ、もし仮に、平成19年に事故などがあってそれが原因でということであれば、やはり納付要件は満たさないような状況でした。
しかし、お聞きすると、原因は糖尿病であり糖尿病自体の初診は平成6年であるというお話をされました。初めてそこで糖尿病だというお話があったのですが、平成19年では納付要件は満たしませんが、平成6年だと満たすということもはっきりしました。
そこで、正式にご依頼を受け、後は通常の手順通り、平成6年の初診時の受診状況等証明書を取得し、診断書も入手してから申請に及びまして、当然のことながら認定を得ることができました。
当事務所による解決 審査請求・再審査請求
しかし、それ自体は事後重症ですので、申請時点である平成25年からしか受給の対象になりませんので、お話を聞くと元々は切断直後に行政への相談へ行ってその時点でも誤教示があったわけですので、やはりそれはひどいので信義則上、保険者としては責任をとるべきであると思いました。そのため平成19年からの年金支給を求めて、審査請求を行いましたが、結果としてはその証拠がないということで棄却となりました(詳しくは、『障害年金 審査請求・再審査請求事例集』にて記載しております。)
その時の相談票を見る機会がありましたが、やはり誤教示があったのは事実ですが、当職はその時に居合わせたわけでもないので実際どういうやりとりがあったのかはわかりません。おそらく切断時点である平成19年を基準として納付要件を見ていたのだと思います。ご依頼者さんもあまりお話が丁寧ではない方ですので、糖尿病であるというお話は自分からはされていないはずだと思いますが、だからといって窓口担当者に責任はないということにはなりません。
何もなくて足を切断する人などいませんから、足を切断したというのは何にせよ「結果」のお話ですので、その「原因」が何なのかということを聞かずして、話は始まりませんから、相談としての体をなしていません。
不審に思ったら社労士に相談を
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こういう話も往々にしてあるのだなというのは思いました。審査請求の棄却を受けて思ったのは、やはり不利な話を聞いて不審に思った場合にはやはり専門の社労士に相談してみられて自衛するほかないということです。
誤教示を受けたと言っても証拠が残っている場合ばかりではないので、放っておくと損失が拡大する場合もあります。