眼・耳・肢体
変形性股関節症(人工関節:2級)
人工関節置換=必ず3級、というわけではなく、症状によっては2級に該当する場合もあります。今回はその事例のご紹介です。
事例概要
女性・51歳(申請時点)
申請:平成24年
結果:障害基礎年金2級(認定日請求)
平成23年他疾患のためある総合病院に入院していた際に股関節痛を覚え、そのまま同院整形外科を受診。その時点では痛みで動けない程だった。その後まずは左股関節に人工関節を装着する。状況を見ながらできれば右は残そうと主治医も努力されたが、経過が悪く最終的には翌年平成24年には両股関節に人工関節を挿入することとなった。
当事務所からのコメント
人工関節の方は、術後の予後が良好な方については、少なくとも私から見たら比較的スタスタと歩けていらっしゃる場合もあります。しかし、このご依頼者さんの場合は非常に予後がよろしくないのは私の目から見ても明らかで、歩行の速度が非常に遅く、横断歩道も信号が青のうちに渡り切れない程であります。
当職も病院に帯同しましたが、病院の駐車場から院内に入るまでに私の方が意識的にかなりゆっくり歩いていてもすぐ距離ができるくらいの状況でした。
障害年金においては「人工関節=すべて3級=基礎なら不支給」という固定概念がいまだに年金事務所職員の中でも根強いのではないかと思いますが、必ずしもそうではありません。かつては認定基準においてそのように定められ、いかに状況が悪くても3級にしかならないとされていたところを、行政訴訟において認定を勝ち取られた方の事例があり、それを受けて新たな通達が出され、その後現在の認定基準に受け継がれた結果、2関節以上に人工関節を挿入されている場合にはその程度により2級の認定が得られる場合について定められることとなりました。
今回の方の場合は、診断書の内容から、より上位等級である2級に認定されることとなり、障害基礎年金を受給できることとなりました。日常生活が阻害される程度までに悪化されている場合ですと、人工関節だから云々ということではなく、そのことに振り回されずに障害の程度を考えていくことが肝要だと思います。