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はじめて2級(ポストポリオ症候群)

ポストポリオ症候群と脊髄性小児麻痺後遺症とによるはじめて2級の認定事例です。

事例 女性・56歳(申請時点)
申請:平成27年
結果:障害厚生年金2級(はじめて2級)

幼児期にポリオに感染し、両脚アキレス腱の短縮障害を負う。10歳ころにアキレス腱の伸長術を受け、変形は残ったが、それ以降は成人してからもそれ以外には特に無症状で過ごしていた。
しかし、平成15年(45歳ころ)から下肢を中心に全身のしびれ感などの不自由を覚える。かかりつけ医A医師に相談したところ「脊髄性小児麻痺後遺症」と診断され、翌平成16年には障害者手帳も発行された。
その後も症状は悪化の一途をたどり、足がもつれて階段から転落することはたびたび起きている。

当事務所による解決 裁定請求

ポストポリオ症候群については、平成18年に出された通達により、初診日について特別な取り扱いが定められるようになりました。
それまでは、ポストポリオ症候群による症状はポリオと相当因果関係があるとして、障害基礎年金の対象とされてきたものを、別傷病として取り扱うとされるようになったのです。
それにより、例えばポストポリオ症候群の初診日において厚生年金に加入していれば、障害厚生年金の対象となりうることとなりました。

ご依頼者様は上記通達のことなどもなんとなくは知っておられたそうですが、やってみようと思ったけれどもよくわからなくなってそのままとなっていたようです。そこで当事務所でご依頼をお受けして、手続きを進めることとなりましたが、結果的にはそこから2年の歳月を必要とした、非常に複雑な申請となりました。

まず、A医師のところでの初診である平成15年においては、ご依頼者様は厚生年金加入期間中でしたので、このやり方により「脊髄性小児麻痺後遺症」にて障害厚生年金を申請しました。

私自身がこの点不勉強だったことであり、それでもすべてが終わった後でなんとなく違いがわかってきた程度ではあるのですが、「脊髄性小児麻痺後遺症」=「ポストポリオ症候群」だと思っていたのですが、実際は違いました。何がどう違うのか、医学的な説明をすることは当職には不可能なのですが、ともかく違うものであるというのは申請後に日本年金機構から返戻があって気づきました。

当職としては、ポリオが治ってから40年近くの年月を経て症状が現れたもの、それは即ちポストポリオ症候群、というイメージだったのですが、結局A医師にその後お話を聞いてみても、A医師自身があまりその違いを意識されていないようでした。そのため、大学病院を紹介されて検査してもらって、その時初めて正式にポストポリオ症候群と診断されました。それをもって、最初の申請は取り下げ、新たに「ポストポリオ症候群」で申請しました。

しかしまだまだ話は終わりません。日本年金機構は、平成16年の障害者手帳取得時点では病名は脊髄性小児麻痺後遺症となっているだろうと、だったらA医師のところの初診がポストポリオ症候群の初診ではないだろうと、いうことでまだまだ突っ込んできます。今更どうしようもない話なのですが、A医師も遅くともこの手帳取得の際に病名をはっきりさせておくべきだったと思います。多分この時点では別にはっきりさせたところで特に何も意味はないからだというような判断もあったのだろうとは思いますが。

結局、そのことが尾を引いたのだと思いますが、申請は却下となりました。却下の理由がよくわからないところはありますが、要するに申請者の障害の中で「ポリオ後遺症」によるものと「ポストポリオ症候群」によるものが混合しているというような判断が保険者の中であって、認定できない、ということのようでした。

当事務所による解決 審査請求

もちろんそれに対する審査請求を行いましたが、主張は多岐にわたりました。結果としてはこちらが主張していた論法の一つですが、上記のように「ポリオ後遺症」と「ポストポリオ症候群」の症状が混在しているとしても、それらを併せた障害の程度は2級に該当している旨を主張したところ、その方向で処分変更となり、結果としてはポストポリオ症候群の初診日が厚生年金加入期間中であるということで、はじめて2級により障害厚生年金が支給されるという決定となりました。

前の事例でご紹介したはじめて2級のパターンは肢体、精神、排泄機能という3つの異なる種別の障害を併合して2級というパターンでしたが、今回のように、肢体の障害の中で別疾病が混在しているという場合にもはじめて2級が適用されるというパターンでした。

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